ナツメグとメース、そしてアスペルギルスオリゼ
少し前、こまったさんのグラタンの話題で触れたナツメグのこと。
ナツメグとメースのレッスンをしたーい!
で終わっていますね(笑)
メースは、あまり馴染みのないスパイスだと思いますが、
ナツメグとは本当に、切っても切れない関係です。
いや、そう遠くないむかし、本当に切ってしまって一度途切れてしまった悲劇のスパイスでもあります。
メースはナツメグの仮種皮。
ナツメグの実を切ると、ナツメグの種のまわりを守るかのようにフューシャピンク色の手のような皮がのびています。
そしてナツメグとメースは別々に加工され、商品になります。
でも、わたし、マーサスチュワートの番組内で、メースが被さったままのナツメグがわんさか入ったガラスボトルから、マーサがメース付きのナツメグをとりだしてすりおろすの見ちゃったの!
しかも一個がものすごく大きかったしつやつやしてた!!
なので、世の中には一緒に加工されたナツメグ&メースもあるみたいです。
すごーく欲しい。
アメリカならあるのかな。
アマゾンでないか探してアメリカ出張の時にゲットか!!
と、いうわけで話をもどして、
メースの方がマイルドで上品な香りを持つため、ヨーロッパで需要が高まり、
ナツメグを伐ってメースを植えろ!
という、
何も知らない西洋人の押し付けで、ナツメグの木は本当に伐られてしまいました。
この話は私にとって本当に衝撃的で、
更に、スパイスの生産地めぐるBSの番組で本当だったことを目の当たりにし、
それからまたやり直して現在に至ることを知り、
スパイスをめぐって、国々が戦争や植民地支配、焼き畑、森林伐採をはじめとする自然破壊など様々な問題をうんだことを痛感したのでした。
日本人には理解しがたいですよね。
たとえ今、外国から輸入するスパイスがなくても日本人の食生活にそれほど影響が無いように感じるほど、日本はスパイスに依存していません。
なぜだと思いますか?
日本でスパイスがそれほど多く使われなかったのには様々な要因が考えられますが、
- 塩が容易に手にはいる
- 水が豊富で、清潔を保ちやすい
- 薬味として添えられる程度
- 主な保存方法は発酵を利用した
からだと考えられます。
特に、たまたま人体に無害だった日本固有の麹菌、アスペルギルス・オリゼが担った役割は大きかったのではないでしょうか。
鎌倉時代にはもう種麹を売る「もやし屋」があり、現在でも脈々と受け継がれています。そして日本中の発酵食品メーカーがその種麹を利用しているのです。
世界最古のバイオビジネスですね。
ついでですが、
マンガ『もやしもん』面白いのでぜひ読んでみてください。
それがなければ
味噌も醤油も酒もみりんも何も作れないわけです。
スパイスの中にも生産行程に発酵を使うものが多くあります。
その代表はバニラかな。
バニラについてはまたいつか。
世界はたくさんの複雑な要因がからんで、ややもするとがんじがらめになって、各地で紛争や衝突や摩擦がおきています。
未来を担う子供たちに、ひとつひとつの背景を説明するのはとても難しい。
けれど、こうして、身近な事柄を切り口として世界を見てみるというのはとても有意義ですよね。
私もこの夏休みのうちに、こどもたちに話したいと思います。
はなしたあと、
それを食べる。
おいしい学習体験ができるなんて、さいこー!